#016 MCPで広がる生成AI活用──マーケターが今すぐ試せる第一歩

お世話になっております。月曜日のトラの岩永です。

8月も終わりに近づきましたが、東京では連日真夏日の暑さが続いています。読者の皆さまは、今年の夏はいかがお過ごしでしたか?

 

今回は、マーケターにとってこれから押さえておきたいキーワード「MCP(Model Context Protocol)」を取り上げました。生成AIとマーケティングツールをつなぐ新しい仕組みが、私たちの仕事にどんな変化をもたらすのか──

 

ひと息つきながら、秋からのステップアップにつながるヒントをぜひ見つけてみてください。

 

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📌 目次

  • MCPで広がる生成AI活用ーマーケターが今すぐ試せる第一歩
  • おすすめ書籍&コンテンツ
  • グループ会社セミナーのお知らせ

MCPで広がる生成AI活用──マーケターが今すぐ試せる第一歩

みなさんは MCPという言葉をご存じでしょうか?

MCPは Model Context Protocolの略です。詳しい説明はGoogleなどで検索してみていただきたいのですが、一言でいえば、ChatGPTやClaude、Cursorといった生成AIツールから、さまざまなSaaSのデータに対して「参照」や「書き込み」を行えるようにするための共通言語のような仕組みです。

ここでは技術的な細部は置いておき、MCPがこれからのマーケティングにどう影響するのか、いくつかのユースケースを交えて解説していきます。

MCPを使わず、生成AI単体でできること

生成AIの裏にはLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)があることは、みなさんも耳にしたことがあるでしょう。

最近は「LLMO(LLM版SEO:自社コンテンツをLLMに取り込んでもらうための取り組み)」といった言葉も一部で使われはじめています。

LLMは膨大な学習データを背景に、一般的な質問に対して賢く回答してくれます。ただし、参照しているのは学習済みデータや公開情報に限られます。そのため「昨日の自社サイトのPV数は?」といった質問には当然答えられません。

MCPを利用してWebサイトの分析をする

最近、Google Analyticsに対応したMCPサーバーが公開され始めました。これによりGemini CLIやClaude Codeなどのツールから自社のGoogle Analyticsプロパティに接続し、自然言語でデータを抽出できるようになります。

たとえば、生成AIに対して

「Google Analytics MCPを使って、7/15に実施したサイトリニューアルの前後比較をしてください。今回のリニューアルの目的はフォーム到達率の向上と、トップページから事例ページへの遷移率改善です。」

と依頼すれば、AIが分析観点を整理し、MCP経由でGoogle Analyticsにアクセスして数値を取得、さらにレポート形式にまとめてくれるわけです。

MCPを利用してSFA・CRMへ書き込みをする

HubSpotなどのCRMサービスもMCPサーバーを提供し始めています。これを使えば、商談でヒアリングした情報をAIに入力して、そのままCRMレコードを書き換えることも可能です。

もちろんCRMではカスタムフィールドが多用されるため、事前にフィールドの定義をAIに伝えておく必要があります。しかし、1件ずつ手入力するよりは圧倒的に効率的です。

また、書き込みだけでなく、CRM内のデータを参照して分析に活用することもできます。

APIを用いたコネクションとの違い

APIとは「異なるアプリケーション同士でデータをやり取りするためのルール」です。「こう言われたらこう返す」をプログラムとして落とし込んだものといっても過言ではありません。

MCPとの違いは、人間の入力が自然言語で行える点にあります。

通常のAPI利用では、利用者が欲しいデータを開発者がAPI仕様に合わせて変換・実装する必要があります。

一方MCPでは、利用者が「やりたいこと」を自然言語で書くだけで、AIがMCPサーバーとやりとりし、必要に応じてAPIを叩いて結果を返してくれます。

しかも返ってくるアウトプットも自然言語なので、非エンジニアにとっても使いやすいのです。

MCPはAPIより優れているのか?

ここまで読んだ方のなかには、そのように感じた方もいるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。分析や調査などの"その場の依頼"にはMCPはとても便利です。

ただし、毎日定期的に実行するような繰り返し処理では、レスポンス速度や出力の安定性の点でAPIのほうが適しています。

APIは「こう言われたらこう返す」を忠実に実行するため、速くて正確。定期処理やバッチ処理にはAPIが向いています。

つまり用途によってMCPとAPIを使い分けるのが現実的です。

マーケターとMCP、そして準備すべきこと

現代のマーケターは、WordPressなどのCMS、MAツール、サイト接客ツール、アクセス解析、SEO順位チェック、NotionやBacklog・Asanaなどのタスク管理ツール、さらにはGoogle広告など、多様なSaaSを使っています。

今後これらの多くがMCPに対応していきます。まずは自分が普段使っているツールがMCPに対応しているか調べ、どんな活用ができるのかを確認してみましょう。

また、MCPを本格活用するには Cursor・Gemini CLI・Claude Codeなどのツール操作に慣れる必要があります。

お試しレベルならChatGPTからいくつかのサービスに接続できますので、まずはそこから感覚を掴むのもよいでしょう。最初はややとっつきにくいかもしれませんが、YouTubeなどには解説教材も豊富です。

いち早くこの領域を自分の武器にしたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。

 

執筆/西 正広

おすすめ書籍&コンテンツ

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世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか / 永井 孝志 (著), 村上 道夫 (著), 小野 恭子 (著), 岸本 充生 (著)

 

私がご支援しているLPOやCVR改善でも「直帰率の適正値は?」「フォーム通過率ってどれくらいあげられる?」といったご質問をいただきます。

便宜的によく言われる数値を共有しているものの、実際にはこれらの数値が具体的な根拠に基づいているわけではありません。経験的あるいは権威的な情報であることが多く納得感が持てないこともしばしば。

基準値にとらわれすぎても良くない。参考にする場合もなぜそうなっているのかを知る必要がある。ということが学べます。雑学的な感じでラフに読めます。

 

執筆/梶井 祥

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最後に

最後までお読みいただき、ありがとうございました。私自身もMCPまわりのツールを少しずつ試しているところです。

皆さんもぜひ触れてみてください。きっと、新しい発見があります。

 

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