お世話になっております。月曜日のトラの岩永です。
東京は真夏のような陽気で、5月とは思えない暑さの日が続いています。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
つい先日読んだ、Ethan Mollickのエッセイ「Management as AI superpower」に、AIエージェントに仕事を任せる時代の管理は、人間管理より複雑で、結局のところマネジメントスキルそのものが問われる、という主張が書かれていました。
AIに何を渡し、どんなアウトプットを期待するか。これは部下に頼むときと同じ「姿勢」の話です。
今号は、4月23日の自社セミナー「あなたのGA4分析はなぜAIを使ってもうまくいかないのか」を、まさに「AIに任せる前にやるべきこと」の観点で振り返ります。
それでは今号もお付き合いください。
去る4月23日、弊社主催で「あなたのGA4分析はなぜAIを使ってもうまくいかないのか」セミナーを実施いたしました。
登壇したのは月曜日のトラのデータアナリスト、葉井。
「GA4のデータを渡して分析させたけど、なんか違うな」
立派なグラフはできあがってくるのに、知りたかった示唆にたどり着かない。深掘りを依頼しても切り口が広がらない。多くの現場で起きている問題です。
原因は、ユーザー側のフェーズによって2つに分かれます。
GA4の操作や全体像が掴めていない
データは渡しているのに、前提情報や分析設計が足りていない
本セミナーはフェーズ2の解決策に絞って話し、3つのポイントに展開しました。
AIは万能ツールではなく、雑な指示には雑なアウトプットしか返してくれません。葉井はそれを、部下マネジメントとの類比で説明しました。
「部下に仕事を任せるとき、集計済みのExcelを1枚だけ渡して『分析して』とは言わないですよね」
事業の背景、抱えている課題、過去に打った施策。普段なら必ず添えて渡すはずの情報を、なぜかAIに対しては省いてしまう。
CSV1枚渡しと、部下に集計済みExcelだけ渡すこと。両者は構造的に同じです。
AIを「魔法のように何でも答えてくれる存在」と捉えているうちは、雑な指示で済ませてしまう。逆に「これから一緒に仕事をするチームメンバー」として扱った瞬間、渡すべき情報の輪郭が見えてきます。
「部下」に渡すべき情報のひとつ目は、データへのアクセスです。CSVを渡しても分析自体はできますが、AIは渡されたデータからしか分析できないので、深掘りを頼んでも切り口を広げてくれない。必要な軸ごとにCSVを手動で用意する手間も、現場ではかなり重い負担になります。
その解決策として紹介されたのが、Model Context Protocol(MCP)を介してAIをGA4に直接つなぐ方法です。
データの取得は「人がCSVを作る」から「AIが自分で取りに行く」へ。
分析の切り口は「渡したデータの軸に固定」から「AIが自由に変えられる」へ。
深掘りは「再アップロード」から「AIが自動で追加データを取得」へ。
最初の接続設定さえ済ませれば、その先の手間はぐっと軽くなります。
「部下」に渡すべき情報のふたつ目は、前提情報と分析設計です。
前提情報とは、AIがまだ知らない自社や事業の情報のこと。
セミナーでは以下の3つを例として提示しました。
サイト概要(事業内容・サイトの目的・主要な導線)
KPI(追っている指標と現在値、目標値、CVの定義)
過去の施策と結果
(効いたこと・効かなかったこと、過去の分析で得られた知見)
分析設計は、その分析で何をどう調べてほしいかを書き出すことです。
分析の目的
明らかにしたい仮説
どこまで対応するか
(数値把握だけか、示唆出しまでか、改善方向性の提示までか)
データソース
ディメンションと指標の組み合わせ
出力フォーマット。
ここまで決まっていれば、AIは迷わず動けます。
セミナー後半では、本セミナー自身の集客分析を題材にした実演もありました。
サイトは弊社ウェブサイト、対象は本セミナーの集客LP、CVは申込イベント、KPIはセミナー申込100件、施策はメルマガとX投稿とX広告。
そこにチャネル別CVR、日別推移、新規とリピーターの差、曜日・時間帯別、といった分析項目を分析設計として添える。
「ここまで前提を整えれば、AIから返ってくるアウトプットは、雑な指示で得るそれとは別物になります」というのが、セミナーが残した結論でした。
AIは雑な指示でも何かしらアウトプットを返してくれます。しかし、それは欲しかったアウトプットではないことが多い。
「AIならば雑な指示で何でもやってくれるのではないかと思ってしまいがちですが、残念ながら通用しません。部下に仕事を任せるように、面倒くさい事前準備が必要です」。
葉井のひとことが、セミナーの最後に残りました。
AIが優秀になるほど「丸投げで済む」と期待してしまいがちですが、実際には逆です。
AIが優秀になるほど、人間が前提と問いを言語化する仕事の輪郭がくっきりしてきます。
マンガでカンタン!行動経済学は7日間でわかります。相良奈美香 (著), 西野みや子 (イラスト)
AIの普及で、A/Bテストの施策アイデアを大量に出せる時代になりました。
でも、出てきた100案の中から「これは効きそう」と筋のいいものを選べていますか?
CVRが上がるテストとそうでないテストを分けるのは、ツールの使い方でもデータ分析でもなく、ユーザーがなぜそう動くのかという仮説の土台。 そんな土台を整える知識のひとつが行動経済学ですが、〇〇学という名称になんだか小難しさを感じませんか?
そんなあなたにおすすめの書籍が、欧米の金融・保険・製薬業界に行動経済学を実装してきた相良奈美香氏監修の『マンガでカンタン!行動経済学は7日間でわかります。』。
1日1章、漫画でサクッと読めるのに、アンカリングや損失回避など、施策に直結する概念がひと通り押さえられます。 「フレーミング効果を使ったCTA文言、他にどんなパターンがある?」と聞けるようになれば、AIとの対話の解像度が一段上がるはず。
ユーザー行動の仮説を完成させるためではなく、AIに質問するためのフックをインプットする目的で、あなたも行動経済学の概念をサクッと学んでみませんか?
執筆/伊藤 宏恵
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本号では、4月23日に実施した葉井によるセミナー「あなたのGA4分析はなぜAIを使ってもうまくいかないのか」を振り返りました。
AIに丸投げするのではなく、部下に仕事を任せるときと同じ姿勢で、前提情報と分析設計をあらかじめ整える。それだけで、AIから返ってくるアウトプットの質が大きく変わります。
ぜひ「いまAIに丸投げしているタスクを、新しく入った部下に頼むつもりで、もう一度書き直してみる」を試してみてください。渡すべき情報の輪郭が、自分の中ではっきりしてくるはずです。
皆さんも今回のメルマガのご感想やご意見を #月トラメルマガ のハッシュタグをつけてXにてポストしてみてくださいね🐯
また、今後のメルマガで取り上げてほしいテーマがありましたら、ぜひご連絡ください。
本メールは、以下のみなさまにお送りしております。
今後弊社からのご連絡が不要な場合は、大変お手数ではございますが、 メール下部のリンクより配信停止のお手続きをお願い申し上げます。