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#036 なぜ施策は変わらない?AIにデータを渡し、分析もできたのに

作成者: 月曜日のトラ|2026/8/20

梅雨入り後、東京ではすっきりしない天気が続いているそうですね。蒸し蒸しとはするものの、雨粒をまとったアジサイの花が美しい季節になったと聞いています。

AI関係は、Claude Fable5が去り、その影響かClaudeが全体的に性能悪化。「シングルベンダーに頼ったAI運用は危うい」と運用体制を再検討した方もいらっしゃったのではないでしょうか。

そんな中、昨日(6月22日)国産AIのSakana AIが複数のモデルを自律協調させる『Sakana Fugu』を正式発表。AIによるAIのオーケストレーションにフェーズが移るやも…と、相変わらずAI関係のニュースから目が離せませんね。

さて、今号は5月21日に開催した「AI活用を見据えたデータ基盤の現状チェック」セミナーのまとめをお届けします。

登壇はデータエンジニアの大竹。参加率84%。大変好評だったセミナーです。

書籍紹介は同じく大竹から、「僕の中ではすごく革命的な本でした」という一冊をご紹介します。

それでは、お楽しみください。 

5月セミナー ハイライト

AI活用を見据えたデータ基盤の現状チェック
バラバラなデータを繋ぎ、精度を高める

AIで分析はできる。では、なぜ成果につながらないのか

AIツールの普及で、自然言語でデータを問い合わせたり、比較・仮説出しをすることが誰でもできるようになりました。分析のハードルが下がったのは確かです。

しかし、AIを使えば使うほど「なぜ成果につながらないのか」という問いが残る。今回のセミナーはそこに答えるところから始まりました。

AI分析でも残り続ける3つの課題

大竹が整理したのは、AI分析でも残り続ける3つの課題です。

  1. データの欠損・重複

  2. 部分的なデータだけを渡した施策

  3. KPIや事業の背景といった文脈がAIに伝わっていない

「AIならば雑な指示でも何とかしてくれる」という感覚で使い続けると、一般論しか返ってこない。その理由がこの3つにある、というのが今回の出発点でした。

成果が出るまでの5つの壁

データを使って成果につなげる道のりで、止まりやすいポイントは5つ。

どこで止まっているかが特定できれば、必要な打ち手は絞り込めます。全部を同時に直そうとするのではなく、まず「今どの壁に当たっているか」を起点にする。それが今回のセミナーが伝えたかった考え方でした。 

  1. 仮説の壁:「何を決めるための分析なのか」が分析前に言語化されていない

  2. データの壁:広告・Web・CRM・売上が別々の場所に散らばっていて、顧客や施策を横断して見られない

  3. 分析の壁:集計と加工に時間が取られて問いを深める余裕が残らない

  4. 行動の壁:示唆が出ても担当・期限・実行先が決まらず、会議で共有して終わる

  5. 成果の壁:前回の仮説と結果が残っておらず、学びが次回の施策に戻らない

整える観点はCLEAR

今回のセミナーでは、データ基盤の状態を見直す五つの観点として「CLEAR」を紹介しました。

  1. Collect(集める) 見たい事実がそもそも残っているか。取得・蓄積・更新頻度の設計を確認する

  2. Link(つなぐ) 顧客・案件・施策・売上をつなぐキーが揃っているか。データが部門ごとに閉じていないか

  3. Establish(そろえる) 指標の定義と責任者が一本化されているか。「CV」の意味が部門によって変わっていないか

  4. Activate(使う) 分析が担当・期限・変更先の決定まで落ちているか。ダッシュボードを見て終わりになっていないか
  5. Review(戻す) 仮説・実行・結果・学びが一連で残っているか。次回の施策に前回の学びが戻せているか

「CLEARの5つをすべて整備しようとするのではなく、チェックリストで弱い箇所を見つけ、そこから始めるといいでしょう」とは、大竹からのアドバイスです。

AIに任せる前に、文脈を渡しておく

セミナーの後半で出てきたのが、業務の文脈をAIが扱える形に整えておく、という話でした。

AIに任せる範囲が広がるほど、KPIの定義・用語の意味・部門間の関係性が「共通の前提として存在している状態」の重要性が上がります。

データの量が増えても、文脈が渡せていなければAIは一般論の回答を返し続けます。「データがある」ことと「AIが使える形でデータが整っている」ことは、別の話ということでした。

要約作成/岩永 梢絵 セミナー登壇/大竹 桐矢

おすすめ書籍 & コンテンツ紹介

アジャイルデータモデリング 組織にデータ分析を広めるためのテーブル設計ガイド (KS情報科学専門書) ローレンス・コル (著)

データモデリングをやろうとすると、

「結局どんなデータを、どんなテーブルで出せばいいの?」

という最初の一歩でつまずきがちです。

私自身、まさにそこで悩んでいた時に役立ったのがこの本でした。

世の中にデータモデリングの本は数多くありますが、本書のいいところは、実際のデータからどう加工していくのかをサンプルデータを使って具体的に示してくれる点です。

手元で流れを追えるので、抽象的な説明だけの本に比べて圧倒的に分かりやすい。

ビジネスのイベントを7Wで洗い出してファクトとして捉え、スタースキーマで組み立てる——その型が、自然と身につきます。

巻末には国内12社の事例集も収録。これからデータモデリングに取り組む方は、まず事例集から読むのもおすすめです。

執筆/大竹 桐矢

セミナーのアーカイブ配信始めました

セミナーアーカイブ動画の配信を始めました

5月28日に月曜日のトラのウェブサイトを全面リニューアルしました。

リニューアルに伴い、これまで開催したセミナーのアーカイブ動画の配信を始めました。

最初の登録は、6月18日に開催した「HubSpot×データ基盤×AIファーストのサイト制作 データ屋さんがサイトを作ると思想が違う」と関連深いこれらのセミナーをおすすめさせてください。

HubSpot自社導入1年のデータ分析会社が語るCRMの実践と学び&チームづくりセミナー

既存ツールを活かした”データ活用” GA4とBigQueryで小さくはじめる顧客データ基盤入門セミナー

遷移先のページにて「アーカイブ視聴を申し込む」ボタンをクリックし、フォームに情報を入力していただければ、アーカイブ視聴URLが届きます。

他の過去セミナーに関しては、準備でき次第、順次公開予定です。公開情報は、メールマガジンでご案内いたします。

当日ご参加いただけなかった回や、見返したい内容がある方はチェックしてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今号で大竹が紹介したCLEARの観点は、「今のデータ活用がどこで止まっているか」を整理するための問いかけでもあります。

もし「分析はしているけど施策改善まで回っていない」「AIに聞いても一般論が返ってくる」と感じている方がいれば、まず自社の現在地を確認するところから始めてみてください。

5つの壁のどこに当たっているかが見えると、次の打ち手は自然と絞れてきますよ。

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