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Google同意モードとは?CMPツールとの関係と計測への影響を解説

西 正広 執筆/西 正広

Google同意モード(以下、同意モード)は、ユーザーの同意状態をGoogleに伝え、同意の内容に合わせてGoogleタグによる計測やデータ利用を調整する機能です。

CMPで同意を得るまで計測タグを止めると、GA4のセッション数や広告のコンバージョン数が減ることがあります。同意モードの高度な実装では、同意がなくてもCookieを使わずにページ表示などを送信でき、計測できないデータの一部を推定で補えます。

この記事では、CMP・同意モード・GTMの役割、基本と高度の違い、GA4やGoogle広告への影響を説明します。個別の設定と確認方法は、後半の技術者向けの章にまとめています。

Google同意モードとCMP・GTMの役割の違い

CMP(同意管理プラットフォーム)は、同意バナーを表示し、ユーザーの選択を保存するツールです。Google同意モードは、その同意状態をGoogleに伝えます。GTM(Googleタグマネージャー)はタグを設定・管理するツールで、同意に応じてタグを実行する条件などを設定します。

「GTM同意モード」と呼ばれることもありますが、Google同意モードと同じものです。Google同意モードをGTMから設定・管理する場合の呼び方です。

CMP・Google同意モード・GTMの役割を示す図。CMPは同意バナーを表示し、ユーザーの選択を保存する。その同意状態を受けたGoogle同意モードは、用途ごとの同意状態をGoogleに伝える。Googleタグは同意状態に合わせて、Cookieの使用やデータの送信・利用を調整する。GTM(Googleタグマネージャー)はタグの設定・管理を行い、実行する条件や順序を指定する。GTMの同意設定は、Google同意モードに合わせてタグを管理するために使う。

本記事の対象について

GDPR(EU一般データ保護規則)や電気通信事業法への対応、どこまで同意を取るかといった法令上の判断は、法務部門や顧問弁護士に確認してください。この記事では法令の解釈には踏み込みません。総務省の外部送信規律のページ(記事末尾の参考サイト一覧)も確認の材料になります。

Google同意モードの「基本」と「高度」で異なるタグの動き

同意モードには「基本」と「高度」という2つの実装方法があり、どちらもGoogle同意モードの実装です。同意前・拒否後のページ表示なども送信し、計測データの欠損をできるだけ抑えたい場合は、高度な実装を選びます。

  • 基本:同意するまでGoogleタグを読み込まず、拒否した場合は同意状態も含めて送りません。
  • 高度:ページを開いた時点でタグを読み込み、同意状態に合わせて送るデータを調整します。高度では、分析用Cookieへの同意がなくても、そのCookieを使わずにページ表示などを送れます。この通信を「Cookieのないping」と呼びます。

次の表は、基本と高度の違いをまとめたものです。高度は、同意前の分析用・広告用Cookieを「拒否」に設定した場合を示しています。

Google同意モードの基本と高度で、Googleタグを読み込むタイミングの違いを示す図。分析用・広告用Cookieの初期状態を拒否にした例。基本はバナーの操作を待ち、ページを開いてからバナーを操作するまではタグを読み込まず、送信しない。許可した場合にタグを読み込んでCookieで計測し、拒否した場合はタグを読み込まない。高度はページを開いた時点でGoogleタグを読み込み、操作前は初期状態の拒否のままCookieなしで送信する。操作後は、許可ならCookieで計測し、拒否ならCookieなしで送信する。基本・高度とも同意モードの実装方法。

比較する点 基本 高度
Googleタグの読み込み バナーで許可したあと ページを開いた時点
バナーを操作する前 送信しない Cookieなしで送信
拒否した場合 タグをブロックし、送信しない Cookieなしで送信
許可した場合 Cookieを使って計測 Cookieを使って計測

(参考:アナリティクス ヘルプ「同意モードを設定する」)

同意前・拒否後にもCookieなしでデータを送信するか、法務部門などと確認したうえで、基本・高度のどちらで実装するかを決めます。

「設定したのに数字が変わらない」という相談では、拒否時にも送信する想定なのに基本の実装になっていることがあります。代理店や制作会社など、設定に関わる人に基本と高度の違いを理解してもらうことにも、実務では時間がかかります。

Cookieなしの計測で分かること・分からないこと

Cookieなしでも、ページの表示や購入・問い合わせなどがあったことは送れます。

ただし、ユーザー数やセッション数の実測には、同じ人の行動かどうかを識別する情報が必要です。また、送ったイベントがそのままGA4のレポートに表示されるとは限りません。

ページ表示の回数だけでは、訪問した人数は分からない

たとえば、通行量調査では、通った回数を数えても、一人ひとりは記録しません。同じ人がもう一度通っても区別できないのです。

高度な実装での分析用Cookieの許可・拒否を、通行量調査にたとえた図。分析用Cookieを許可した場合は、同じ人に同じ印を付けられるので、A・B・A・Cと4回通ると「通過4回・3人」と数えられる。拒否した場合は印を付けず、通った数だけを数えるので「通過4回・人数は不明」になる。数値は例。

Googleも、10件のページビューが10人分か1人分かは識別できないと説明しています。

再訪問やセッションの識別にはCookieのIDを使う

GA4のタグは通常、Cookieに保存したIDなどを使い、同じブラウザーからの再訪問やセッションを区別します。セッションは、サイトを訪れてからの一連の行動をまとめる単位です。

高度な実装で分析用Cookieを拒否した場合、このIDをCookieに保存したり、読み取ったりしません。ページ表示などは送れますが、同じ人の行動として記録できなくなります。

分析用Cookieへの同意を拒否した人のブラウザーから送られる情報には、日時、ブラウザーなどの情報、参照元のURL、広告クリック情報がURLに含まれていたかどうか、同意の状況、ページを開くたびに作る乱数などがあります。

乱数もページを開くたびに変わるので、同じ人かどうかの目印にはなりません。Cookieを使わなくてもGoogleに情報は送るため、法務部門や情報システム部門にも確認してください。

GA4・Google広告で推定されるデータと利用条件

GA4ではユーザー数やセッション数を、Google広告ではコンバージョン数を推定する機能があります。ただし、実装方法やデータ量などの条件があり、すべてのサイトで利用できるわけではありません。詳しい条件と必要なデータ量の試算は、CMP(Cookie同意管理)ツール導入でGA4のデータはどう変わる?で解説しています。

GA4では、同意していないユーザー数やセッション数を推定する

GA4の「行動モデリング」は、分析用Cookieに同意したユーザーのデータをもとに、同意していないユーザーの行動を推定する機能です。ユーザー数やセッション数などを、推定値を含むレポートで確認できます。

利用には、サイトの全ページで高度な実装を行ったうえで、GA4のプロパティで次の両方を満たす必要があります。

  • 分析用Cookieへの同意がない状態(analytics_storage=denied)のイベントを、1日1,000件以上、少なくとも7日間収集している
  • 分析用Cookieに同意した状態(analytics_storage=granted)でイベントを送信するユーザーが1日1,000人以上いる日が、過去28日間のうち少なくとも7日間ある

同意がない場合は「イベント件数」、同意した場合は「ユーザー数」が条件です。ただし、これらを満たしても、必ず行動モデリングが有効になるわけではありません。

Google広告では、計測できないコンバージョンを推定する

Google広告の「コンバージョンモデリング」は、同意がなく広告クリックと購入・問い合わせを直接結び付けられない場合に、コンバージョンを推定する機能です。基本の実装では一般的なモデルを、高度な実装ではCookieのないpingも使った広告主ごとのモデルを使います。こちらも広告クリック数などの利用条件があります。

BigQueryでは、GA4の行動モデリングによる推定値を使えない

行動モデリングによる推定値はGA4の一部のレポートに表示され、BigQueryのデータには含まれません。

全世界をオプトイン(Cookieの使用前に同意を求める形)にしていたサイトでは、同意がないアクセスのClient ID(クライアントID:ブラウザーを識別するID)を取得できず、BigQueryでそのアクセスをユーザーやセッションごとに分析できませんでした。

BigQueryを使う場合は、分析に必要なデータが取れるかも確かめて、同意の取り方を決めてください。

CMP選びで確認するツール対応と地域・言語の設定

CMPを選ぶときは、Google同意モードに対応しているかに加え、自社で使っているほかのツールへの対応と、同意を求める地域・言語の設定が合うかを確かめます。

Google同意モードと利用中のツールへの対応

Google同意モードに対応するCMPは、Googleのアナリティクス ヘルプにある一覧(記事末尾の参考サイト一覧)で確認できます。すべての製品が載っているわけではないので、見当たらない場合は提供元に聞いてください。

たとえば、月曜日のトラがよくご案内するwebtruはGoogle同意モードv2とMicrosoft Clarityの同意モードに対応し、管理画面でチェックを入れると連携できると公表しています。自社で使っているほかのツールにも対応しているか、あわせて確かめてください。

同意を求める地域と言語ごとの設定

全世界でCookieの使用前に同意を求める設定にすると、日本からのアクセスも対象になります。さらに、同意するまでタグを止める設定にしていると、同意前のページ表示なども送信されません。

月曜日のトラは、海外から予約が入るホテル・観光のサイト、多言語で展開するメーカーのグローバルサイト、メディアのサイトからご相談をいただき、設定をご支援することが多いです。私が確認してきたサイトでは、同意モードが未設定か、日本からのアクセスまでオプトインにして計測が止まっているケースがほとんどでした。後者はCMPの地域設定を誤っていることが多いのではないかと感じています。

日本からのアクセスも同意の対象にするかを含め、法務部門などと決めた方針にCMPの設定が合っているかを確認してください。

多言語サイトは、1カ所を設定しても、ほかの言語のサイトまで同じ設定になるとは限りません。言語ごとにサイトが分かれている場合は、一つずつ確認します。

【技術者向け】GTMの同意設定と実装後の確認方法

GTMの設定を確認したうえで、バナーの操作やアクセス元の地域によって、送るデータが設定どおりに変わるかを確かめます。

GTMで設定できる7種類の同意タイプ

Cookieなどへの情報の保存や、データの送信・利用について、用途別に許可・拒否を設定する項目が「同意タイプ」です。次の7種類があります。

分類 同意タイプ 対象
アクセス解析 analytics_storage 分析用のCookieなどの保存
広告 ad_storage 広告用のCookieなどの保存
広告 ad_user_data 広告に使うユーザーデータのGoogleへの送信
広告 ad_personalization パーソナライズド広告への利用
サイト機能など functionality_storage 言語設定など、機能に必要な情報の保存
サイト機能など personalization_storage おすすめの表示などに使う情報の保存
サイト機能など security_storage 認証や不正防止に必要な情報の保存

Googleのアクセス解析・広告に関わるのは、analytics_storageと、ad_で始まる3種類の計4つです。残りの3種類は、サイト機能やパーソナライズ、セキュリティに関する情報の保存を扱います。分析だけを許可し、広告は拒否する設定もできます。

同意前の初期設定と過去の選択の反映

初期状態は既定値に任せず、地域・同意タイプごとにサイトの方針に合わせて設定します。以前の選択が保存されている場合は、その内容も反映します。同意するまでCookieを使わない地域では、該当する同意タイプを denied(拒否)にし、回答後に書き換えます。

GTMで確認する実行順序とタグごとの同意条件

高度な実装では、GA4やGoogle広告のタグを止めずに読み込みます。タグには同意状態を確認する機能があり、許可・拒否に合わせてCookieの使用や送るデータを変えます。基本の実装では、同意するまでタグをブロックします。

GTMでは、次の3カ所を確認してください。

  1. 同意の初期化トリガー。CMPや、同意の初期状態を設定するタグを、ほかのタグより先に実行するために使います。地域・同意タイプごとに、バナーに回答する前の状態を設定し、回答後に書き換えます
  2. タグごとの同意設定。同意があるときだけ実行したいタグでは、「タグの配信時に追加同意が必要」を選び、必要な同意タイプを指定します。同意モードに対応しないタグなどが対象です。高度な実装でCookieなしの送信を続けるGoogleタグには、この追加条件を付けません。「未設定」のままなら、追加のチェックはありません
  3. 同意の概要。コンテナの設定で有効にすると、「同意設定なし」のタグを一覧で確認できます。一つずつ確認し、必要な同意条件を設定します

バナー操作前・許可後・拒否後の送信データの確認

私はGoogle Analytics Debuggerとブラウザーの開発者ツール(DevTools)で送信データを確認し、GTM・CMPの設定どおりかを確かめます。GA4のDebugViewは補助的に使います。Googleタグアシスタントでも、アクセス解析・広告に関わる4つ(analytics_storage・ad_storage・ad_user_data・ad_personalization)の同意状態を確認できます。

Googleへの通信には、広告用・分析用Cookieの同意状態を示す gcs という値があります。G1xy のxがad_storage、yがanalytics_storageに対応し、1が許可、0が拒否です。

値 意味
G100 広告用・分析用Cookieとも拒否
G110 広告用Cookieのみ許可
G101 分析用Cookieのみ許可
G111 広告用・分析用Cookieとも許可

gcs が広告・分析用Cookieの同意状態を示すことは、Googleの公式ドキュメントで説明されています(参考:Consent mode overview)。ただし、上表の具体的な値の読み方は公式仕様として公開されておらず、告知なく変わる可能性があります。

  1. 開発者ツールを開き、サイトのCookieと、CMPに保存された同意の選択をリセットする
  2. バナーに触れずにページを読み込み直す
  3. ネットワークタブで、URLに collect を含む通信を表示する
  4. 最初の通信の gcs を確認する
  5. バナーで許可を選び、そのあとの通信の gcs を確認する
  6. 同意の選択を再びリセットし、拒否を選んだ場合の通信も確認する

高度な実装で、初期状態を広告用・分析用Cookieとも拒否にした場合、操作前は G100 です。両方を許可したあとは G111、分析用Cookieだけを許可した場合は G101 になります。拒否を選んだ場合は G100 のまま変わりません。

これで確認できるのは、この2種類の同意状態です。広告用のユーザーデータ送信やパーソナライズド広告への同意は、タグアシスタントなどで別に確認します。基本の実装では操作前の送信自体がないため、gcs も表示されません。

2件目以降だけでなく、最初のイベントも確認します。同意状態を設定する前にタグが動いていないかを確かめるためです。

海外IPを使った地域別の動作確認

私はVPNで海外のIPアドレスを使い、その地域向けの設定どおりに計測されるかを確認しています。日本からだけでは確認できず、多言語サイトではこの作業にも手間がかかります。

導入前に決めておく同意の対象地域と計測方針

CMPはユーザーの選択を保存し、Google同意モードはその同意状態をGoogleに伝え、GTMは同意に応じてタグを実行する条件を管理します。GTMを使う場合は、この3つの役割を踏まえて、バナーでの選択を計測に反映するように設定します。

計測への影響は、基本と高度のどちらで実装するかで変わります。基本では、同意しなかったアクセスのデータはGoogleに送信されません。高度では、同意のないアクセスも、Cookieを使わずにページ表示や購入・問い合わせなどを送信できます。ただし、そのアクセスが同じ人かどうかは分からず、ユーザー数やセッション数は条件を満たした場合に推定されます。

導入するときは、どの地域で同意を求めるか、同意前・拒否後にもCookieなしで送るかを法務部門などと決め、その方針どおりにCMPとGTMが動いているかを確かめてください。

CMPとGoogle同意モードの導入をご相談ください

CMPと同意モードは自社でも設定できます。ただし、同意を求める地域に加え、タグをいつ、どんな条件で実行するかも確かめる必要があります。

計測できなかったデータは、あとから取り直せません。判断や動作の確認が難しいときは、専門家への相談も検討してください。

月曜日のトラでは、タグの調査から計測の計画、実装、検証、運用マニュアルの作成まで対応しています。詳しくはCMP導入支援のページをご覧ください。

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