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GA4分析にAIを使ってもうまくいかないのはなぜ?AIに伝えるべき前提情報と分析設計

葉井 貴秋 執筆/葉井 貴秋

ChatGPTやGemini、ClaudeにGA4のデータを渡して分析させてみたものの、返ってきた答えに「なんか違う」と感じたことはないでしょうか。

渡した表の数字をなぞって説明してくれるものの、そこから先の仮説や、次に何をすればいいかまでは出てきません。プロンプトの書き方が悪いのか、ツールを変えればいいのか、と迷っている方も多いと思います。

うまくいかない原因の多くは、AIの性能やプロンプトの言い回しではありません。AIに渡している材料が足りていないことにあります。

足りていないものは3つです。GA4のデータそのものへのアクセス、事業の背景などAIが知らない情報をまとめた「前提情報」、そして今回の分析で何をどこまでやってほしいかを書いた「分析設計」です。

この記事では、AIでのGA4分析がうまくいかない原因を2つに分けて整理し、期待する分析を得るためにAIに用意すべきものを紹介します。

AIでのGA4分析がうまくいかない2つの理由

AIを使ったGA4分析がうまくいかない理由は、大きく2つに分かれます。理由によって打ち手が違うので、まず自分がどちらに当たるかを確かめてください。

理由 よくある状態 問題 打ち手
理由1 GA4の操作手順やレポートの設定の仕方をAIに聞いている GA4で何ができるか、何を分析したいかが、使う人自身に分かっていない GA4でどんなデータが出せるのか、全体像を把握する
理由2 CSVなどで断片的なデータだけを渡して分析させている 何を分析したいかは分かっているが、データが断片的で、前提情報や分析設計がない AIがデータにアクセスできる環境を整え、前提情報と分析設計を伝える

GA4で何が出せるかが分かっていないうちは、AIに渡す材料をそろえても、返ってきた答えが正しいかどうかを判断できません。

ですので、GA4の操作手順やレポートの設定の仕方をAIに聞いている方に向けて、最低限押さえておきたいことを先に紹介します。

そのあとは、CSVなどで断片的なデータだけを渡して分析させている方に向けた解決策を中心に扱います。

AIに頼む前に、GA4で何が出せるかを押さえる

GA4の操作手順やレポートの設定の仕方をAIに聞いている方は、AIに頼む前に、GA4で何ができるかを知るところから始める必要があります。とはいえ、詳しい操作手順まで覚える必要はありません。

ただし、次の3つが分からないと、AIに何をどう指示すればいいかが決まらず、返ってきた答えが正しいかどうかも判断できません。

知っておくこと 具体的には
主要なデータの切り口 チャネル、ページ、デバイス、性別や年齢など、どの切り口で分析できるのか。GA4では、この切り口をディメンションと呼びます
主要な指標の意味 表示回数、セッション、ユーザー、イベント数、キーイベント(以前の名称はコンバージョン)など、どんな数値が出せるのか
自社のイベントとキーイベントの設定 GA4でどんなイベントを計測していて、何をキーイベントとして設定しているか

特に3つ目「自社のイベントとキーイベントの設定」は、分析の土台になります。どのイベントがキーイベントかという設定はAIも読めますが、なぜそれを成果とみなしているのかという意味までは分からないからです。

使う人がそれを説明できないと、AIの出した成果の数字が正しいかどうかも判断できません。

CSVを1枚渡すだけでは、AIは渡した数字を読み上げて終わる

よくある失敗例として、CSVなどで断片的なデータだけを渡して分析させているときに何が起きているかを見ていきましょう。

CSVでも分析はできるが、渡した切り口の外は見られない

AIはCSVのみで分析可能です。しかし、AIは与えた情報からしか分析できません。

AIが分析の途中で「別の切り口から深掘りしたい」と考えても、手元にそのデータがないのがCSVのみでの分析です。AIからのリクエストに応じて、必要なデータを毎回書き出してアップロードすることは可能ですが、手間がかかります。

AIにチャネル別のCSVだけを渡して分析させた結果

以下は、セミナーの集客施策ごとの成果を評価する、という目的で、GA4からセミナー集客ページのチャネル別のセッション数と、コンバージョン(以下、CV)の数をCSVとして書き出し、AIに分析させた結果です。

使用したプロンプトは次のとおりです。

プロンプト

AIにチャネル別のCSVを渡し、セミナー集客施策ごとの成果を評価してHTMLのレポートにするよう頼んだプロンプトの画面

分析結果

CSVだけを渡したときにAIが返したレポート。チャネル別のセッション数とCV数を並べ、X広告の課題を推測で指摘している

CSVだけを渡したときにAIが返したレポートの続き。次回に向けてGA4のファネル分析で離脱を確かめるよう提案している

チャネル別の数字を並べ、それぞれに一般的な読み解きを添えたものでした。

  • X広告は広告の内容やターゲティングに問題がありそうだ
  • LPに来たあとの離脱をファネル分析で確かめるべきだ

といった指摘もありますが、どれも渡したデータでは確かめようのない推測です。

日別の推移や、新規ユーザーとリピーターの違い、曜日や時間帯ごとの傾向は出てきません。プロンプトに年を書かなかったため、レポートの年は2025年になっていました。

チャネル別のデータしか渡しておらず、何を見たいのかも伝えていないので、当然の結果です。レポートのデザインもAIが勝手に決めたもので、自社のレポートとの統一感もありません。

分析の前に、データへのアクセス・前提情報・分析設計の3つをそろえる

部下に分析の仕事を任せるとき、集計済みのExcelを1枚だけ渡して「分析して」とは言わないはずです。事業の背景や今の課題、これまでに打った施策も伝えます。

AIにCSVを1枚渡して「分析して」と頼むのは、人間の部下に集計済のExcelを1枚だけ渡して分析させるのと同じことです。材料が少なければ、返ってくる答えも渡した数字の範囲にとどまります。

期待するアウトプットを得るには、部下に任せるときと同じように、次の3つをそろえます。

  • データへのアクセス:断片的なCSVではなく、GA4のデータそのものにAIがアクセスできる状態を作る
  • 前提情報:自社の基本情報や施策の背景など、AIが知らない情報を整理して伝える
  • 分析設計:今回の分析で、何をどこまで分析してほしいのかを伝える

AIがGA4のデータを自分で取得できるようにする

AIに分析を任せるためにそろえる3つのうち、最初にそろえるのがデータへのアクセスです。CSVで渡すのをやめ、AIが自分でGA4のデータを取りに行ける状態にすると、分析の途中で切り口を変えられるようになります。

MCPかAPIで、AIをGA4につなぐ

AIが自分でGA4のデータを取りに行ける状態にする方法は、次の2つです。

  1. MCPを使う
  2. GA4のAPI(Google Analytics Data API)を、AIに直接呼び出させる

MCPは、AIが外部のツールやデータとつながるための共通の仕組みです。この仕組みに対応したAIツールであれば、同じ方法で外部のデータに接続できます。

GA4向けには、Google Analyticsの公式GitHubアカウントから「Google Analytics MCP Server」が試験運用版として公開されています。AIツールとこれをつなぐと、AIが自分でGA4にアクセスしてデータを取得できるようになります。公開元の手順は、Gemini CLIとClaude Code向けに用意されています。

APIを使う方法では、Claude Codeのように手元でプログラムを実行できるAIツールに、APIからデータを取得する処理を書かせて実行させます。MCPを用意しなくても、AIが必要なデータを自分で取りに行く状態は作れます。

どちらの方法でも、接続にはGoogle Cloud側の認証の設定が必要です。使っているAIツールや社内の環境に合わせて、やりやすいほうを選んでください。どちらを選んでも、できるようになることは同じです。

  • AIツールから、GA4に直接接続できる
  • 自分でコードを書かなくても、対話しながらAIがデータを取得して分析する
  • 深掘りしたいと伝えれば、AIが自分で追加のデータを取りに行く

CSVとMCP・APIの違いは、AIが切り口を変えられるかどうか

データの取得方法、分析の切り口、深掘り、手間の4つで比べると、次のようになります。

項目 CSV MCP・API
データの取得方法 GA4のデータをCSVにしてAIに渡す AIが自分でGA4にアクセスする
分析の切り口 渡したデータの切り口に固定される AIが切り口を変えられる
深掘り 別の切り口が必要なら、書き出してアップロードし直す AIが追加のデータを取得する
手間 切り口の数だけCSVを用意する 最初の接続設定だけ

前提情報と分析設計を用意して、AIに伝える

AIに分析を任せるためにそろえる3つのうち、残りの2つは、前提情報と分析設計です。

事業、KPI、過去施策などの前提となる情報と、どんな分析をすればいいのかを伝えないと、期待しているアウトプットは出てきません。

前提情報には、AIが知らない事業のことを書く

前提情報は、AIが知らない自社のことを整理したものです。まとめておくべき項目の例は次のとおりです。

分類 書く項目
サイト・事業概要 ・事業内容・サービス概要
・サイトの目的・役割
・サイト構成・主要な導線
KPI・目標 ・追っているKPIと現在の数値
・目標値と達成期限
・KPIの定義(何をもってCVとするか)
過去の施策・実績 ・過去の施策とその結果、直近の施策
・効いたこと・効かなかったこと
・過去の分析で得られた知見

分析設計には、何をどこまで分析してほしいかを書く

分析設計は、今回の分析で何をどう分析してほしいかを伝えるものです。こちらも項目の例を挙げます。

分類 書く項目
分析の目的 分析することになった経緯
仮説・明らかにしたいこと
どこまで対応するか(数値の把握だけか、示唆出しまでか、改善の方向性や具体的なプランまでか)
分析項目 データソース(GA4、Search Console、社内の基幹データなど)
ディメンションと指標の組み合わせ
集計の対象期間
出力形式 フォーマット(Markdownのファイル、HTMLなど)

数値を並べてほしいだけなのか、次の施策まで提案してほしいのかで、AIの返す内容は大きく変わります。

前提情報と分析設計を用意して、AIにセミナー集客を分析させた例

ここからは、CSVの例と同じセミナー集客の分析を、データへのアクセス・前提情報・分析設計の3つをそろえたうえでAIに任せた例です。

実際に使った前提情報と分析設計

この分析で、実際にAIに読ませた前提情報と分析設計の一部を紹介します。

前提情報(一部)

分類 内容
サイト・事業概要 サイト:tigermonday.com(株式会社月曜日のトラの自社サイト)
事業:アナリティクス、マーケティングオートメーション、BI、DWH、レコメンデーション、Cookie同意など、デジタルマーケティングを進めるうえで欠かせない技術的な課題を解決する
対象ページ:セミナーの集客ページ
CVの計測:セミナー申し込み完了のイベントで計測
KPI・目標 KPI:セミナーの申し込み数
目標:100件
施策 メールマガジンの配信、Xへの投稿、X広告
集客開始:2026年3月26日から
過去のセミナー実績 過去5回のセミナーのテーマと、それぞれの申し込み数・参加数

分析設計(一部)。表の中では、コンバージョン率(以下、CVR)を略称で書いています。

分類 内容
目的・経緯 セミナー集客の施策ごとの成果を評価し、次回以降のセミナー集客に活かす
どこまで 数値の集計から、集客施策ごとの成果の評価、改善案の提出、レポーティングまで
分析項目 チャネル別のセッション数・CV数・CVR
日別のセッション数・CV数の推移
新規ユーザーとリピーターのCV数
曜日・時間帯別のCV数
データソース GA4(MCP経由)
期間 2026年3月26日〜4月22日
フォーマット HTMLのレポート(自社のスライドテンプレートのデザインに合わせる)

明らかにしたいことと、それぞれの仮説は次の4つです。

明らかにしたいこと 仮説
どの施策がCV数・CVRで最も成果を出しているか メールマガジンのCVRが最も高く、Xへの投稿がCV数では最も多い
X広告は費用に見合う集客ができているか 流入は稼げるが、CVRは通常の投稿より低い
メールマガジンの配信やXへの投稿のタイミングとCVの関係 平日の業務時間帯、特に金曜にCVが集中している
新規ユーザーとリピーターでCVRに差があるか リピーターのCVRは新規より高い

AIへの依頼文(プロンプト)は短くてよい

前提情報と分析設計をファイルにまとめておけば、AIへの依頼文そのものは短く済みます。

context.md を読んで、そこに書かれた分析設計に従ってGA4のデータを取得・分析し、HTMLレポートを作成してください。

- GA4のデータはMCP経由で取得してください
- 集計期間はcontext.mdに記載の通りです
- レポートのデザインは slide-template.html を踏襲してください
- 出力先は report.html にしてください

依頼文で最初に読ませているファイルが、前提情報と分析設計をまとめたものです。プロンプトの言い回しを工夫するより、このファイルの中身を充実させるほうが、返ってくる分析は良くなります。

AIが返してきたレポート

AIが返してきたのは、表紙を含めて9枚のスライド形式のHTMLレポートです。デザインは自社のスライドテンプレートに合わせてありました。

CSVの例では出てこなかった日別の推移、曜日・時間帯ごとの傾向、新規ユーザーとリピーターの比較も、分析設計に書いたとおりにそろっています。

レポートの一部は次のとおりです。

AIのレポートのチャネル別成果。メールマガジンがCVR30.0%・CV39件で最も高く、X広告は997セッションでCV0件

AIのレポートの曜日・時間帯別のCV数。金曜が30件で最も多く、時間帯では13〜16時に集中している

AIのレポートの日別セッション数とCV数の推移。4月10日と最終日の4月22日にCVが増えている

AIのレポートの新規ユーザーとリピーターの比較。リピーターのCVRは12.1%で、新規の3.6%の約3.4倍

※CSVの例は4月21日まで、こちらは4月22日までの集計で、22日のリマインドメールで申し込みが十数件増えた分、チャネル別の数字にずれがあります。

仮説の検証結果

分析設計に仮説を書いておいたので、AIは結果を仮説ごとにまとめて返してきました。最初の仮説には「メールマガジンのCVR」と「Xへの投稿のCV数」の2つが入っていたため、AIはこれを分けて5つとして確かめています。

5つのうち4つは仮説どおりで、外れたのは「Xへの投稿がCV数では最も多い」の1つでした。メールマガジンはCVRが30.0%で最も高く、CV数も39件で1位です。Xへの投稿は29件で2位でした。X広告はCVRが低いという仮説どおりでしたが、997セッションに対してCVは0件と、想定を超えていました。

AIのレポートの仮説の検証結果。5つの仮説のうち4つが支持され、Xへの投稿のCV数が最も多いという仮説だけが外れた

AIが追加したX広告の深掘り

AIが分析設計の外で追加したX広告の深掘り。X広告からの流入がGA4でPaid Otherに分類されていることを挙げている

X広告のCVが0件だったことを受けて、AIは分析設計に書いていなかったX広告の深掘りを追加していました。AIがGA4のデータを自分で取りに行ける状態だったので、渡した切り口の外まで分析が広がった例です。

ただし、その中には筋の通らない指摘も混じっていました。AIは、X広告からの流入がGA4で「Paid Other」に分類されていることを挙げて、CVの計測の正確さにも影響すると書いています。

UTMは、広告のリンク先URLの末尾に付けて、どこから来た訪問かをGA4に伝える目印です。今回は「source=x」「medium=paid_social」を付けていました。「Paid Other」になるのは、この値がGA4の既定のチャネルの定義に当てはまらないためです。変わるのはチャネルの呼び名だけで、CVの数え方は変わりません。X広告から来たセッションであることもUTMで分かっているので、X広告経由のCVは0件と読むのが素直です。

UTMを直してチャネルの呼び名をそろえることや、広告の管理画面のCV数と突き合わせることは、確認として意味があります。ただ、呼び名がずれていることは、CVの計測が不正確だという根拠にはなりません。

こうした指摘に気づけるかどうかは、使う人がGA4の仕組みを分かっているかで決まります。前半で「AIに頼む前に、GA4で何が出せるかを押さえる」と書いたのは、このためです。

次回のセミナー集客への提案

分析設計で次回への改善案を出すところまで依頼していたため、レポートの最後には次回のセミナーに向けた提案が並んでいました。

  • メールマガジンを集客の軸にする
  • X広告の運用を見直す(ターゲティング、広告の内容、リンク先、UTMの設定)
  • メールマガジンの配信とXへの投稿を、金曜13〜16時※に寄せる
  • 過去のセミナー参加者に先行して告知する

※金曜にCVが集まったのは、4月10日(金)にセミナーの告知メールを送り、その日に申し込みが集中したためです。施策をいつ実施したかまで前提情報に書いておけば、AIは曜日の効果と配信日の効果を分けて読めます。

AIのレポートの次回セミナーへの示唆。メールマガジンを集客の軸にする、X広告の運用を見直すなどの提案が並ぶ

AIにGA4の分析を任せるなら、部下に任せるときと同じ準備をする

AIの答えに「なんか違う」と感じたら、プロンプトを書き直す前に、AIに用意しているものを見直してください。準備は次の順で進めます。

  1. 自社のGA4で、どのイベントをキーイベントにしているかと、それを成果とみなす理由を説明できるようにする
  2. MCPかAPIで、AIがGA4のデータを自分で取りに行けるようにする
  3. 前提情報(事業・KPI・過去の施策)と分析設計(目的と仮説・分析項目・出力形式)をファイルに書き、依頼文で最初に読ませる

「AIなら雑な指示でも何でもやってくれるのではないか」と思ってしまいがちですが、残念ながらそうはいきません。部下に仕事を任せるときと同じように、事前の準備が必要です。

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AIでGA4を分析してみたものの期待した答えが返ってこない、そもそも何を計測できているのか分からないなど、思い当たることがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

関連セミナーアーカイブのご案内

この記事のもとになったセミナーに加えて、うまくいかない2つの理由をそれぞれ深掘りしたセミナーを、アーカイブでご覧いただけます。GA4の操作手順やレポートの設定の仕方をAIに聞いている方は2本目を、CSVなどで断片的なデータだけを渡して分析させている方は3本目と4本目をご覧ください。

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1本目と2本目は、GA4の操作手順やレポートの設定の仕方をAIに聞いている方に向けて、GA4の数字が何を表しているかを押さえる記事です。3本目は、CSVなどで断片的なデータだけを渡して分析させている方に向けて、AIにデータを読ませる前の準備を扱った記事です。

参考サイト一覧

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